爪白癬(水虫)に対して外用薬じゃなくて、どうしても内服薬が使いたい!でも「肝機能が…」「併用禁忌やら相互作用が…」なんて悩みが今までつきまとってきました。
そこにジャジャーンと登場したのがネイリンカプセル。どんな薬??
目次
発売日は?
追記:発売日は2018年7月27日です。
何の薬?
→経口抗真菌剤。適応症は爪白癬のみ!ですので普通の趾間とかの白癬には使えませんのでご注意。
一般名はホスラブコナゾール。ネイルでホストLOVE!と覚えましょう。
どう効く?
→ホスラブコナゾールはプロドラッグです。代謝されて活性本体であるラブコナゾールに変換され、真菌細胞の膜性分であるエルゴステロール生合成を阻害して抗菌作用を示します。
どんな製剤?
→名前の通りカプセル剤、中身は粉末でラブコナゾールとして100mgを含有します。長径15.6mmx径5.8mmなので、まあ普通のカプセルって感じの大きさですね。赤と黄色のド派手ボディです。
有効成分に吸湿性あり。そのためかPTPシートでの保存でも3ヶ月から水分の増加が認められた(適合内)とあります。条件は25℃/75%RH。同一条件下、シャーレ開放だと1ヶ月で中身の粉末が塊になってしまい、3ヶ月で適合内ながらも溶出遅延、6ヶ月で含量が規格値をわずかに下回ったとのこと。そんな高湿度下で保管しないとは思いますが一応「湿気避けて下さいね~」とお伝えしておきましょう。
一包化していい?
→前述の内容より長期の一包化には向かないでしょう。1ヶ月くらいならいけるかな?あっ、保証はしませんからね!
脱カプセルしていい?
→前述の内容より吸湿してしまうので脱カプセルは不可と考えた方がいいでしょう。服用直前に脱カプセル、なら問題ないと思いますが味が分かりません。
いつ飲む?
→1日1回、食前でも食後でもOK。食後だとCmaxが空腹時に比べ40%ほど低下するそうですが、気にしなくていいそうです。
「空腹時投与及び食後投与での AUC0-t の平均値の比の 90%信頼区間は同等性の判断基準内であった。Cmax では同等性の判断基準を下回っていたものの、臨床上の安全性や有効性において影響を及ぼすものではないものと考えられた。ネイリンカプセルは食事に関係なく投与可能な薬剤と考えられた。」[1]ネイリンカプセル100mgに関する資料 佐藤製薬
どれだけ飲む?
→1日1回1カプセル(100mg)を12週間服用します。異常がない限り途中でやめないこと!
副作用は?
→臨床試験で中止に至ったのは、γ-GTP増加8例・ALT増加8例・AST増加5例(n=101)など肝機能異常が目立ちます。「いずれも処置なしで回復及び軽快した」とありますが、服用中は肝機能チェックしておいた方が良さそうです。
代謝は?
→活性代謝物のラブコナゾールはグルクロン酸抱合を受けます。CYPによる代謝は受けません。
併用禁忌・相互作用は?
併用禁忌はありません。素晴らしい。そして相互作用も少ないときた。
相互作用は、CYP3A阻害によるシンバスタチン・ミダゾラムの血中濃度上昇の可能性が指摘されています。
また、ミコナゾールにてワルファリンの作用増強例があるため、同じアゾール系であるホスラブコナゾールについてもワルファリンとの併用は注意となっています。ラブコナゾールにはCYP2C9阻害作用も認められてるので、ミコナゾール程とは言わないまでも、やはり注意が必要でしょう。
禁忌症例は?
→本剤によるアレルギー歴・妊婦または妊娠の可能性のある患者、の2項目のみです。
ホスラブコナゾールは動物実験において胎盤通過性、胎児毒性、催奇形性が報告されており妊婦または妊娠の可能性のある患者には禁忌です。また、妊娠可能な婦人に対しては「本剤投与中及び投与終了後 3 ヵ月間は適切な避妊を行うよう指導すること」となっています。これは、健康成人を対象とした国内第 I 相試験 14)におけるラブコナゾールの最長消失半減期(600mg 投与:209.77 時間)を基に 3 ヵ月と設定されています。
肝障害については「慎重投与」となっています。テルビナフィンだと重篤な肝障害には禁忌ですが、ホスラブコナゾールにはその記載がありません。ただ、重篤な肝障害例への投与経験が無いので「重篤でも使える」と安易に考えてはいけません。
軽度~中等度(Child-Pugh分類A~B)の場合、臨床試験では特に問題が見られませんでした。ただし、これは単回投与のみの結果なので、適応にある12週間投与となると話が変わってくる可能性はあります。
いつから長期処方できる?
2019年6月1日から長期処方ができます。
参考文献 ネイリンカプセル100mg インタビューフォーム・審査報告書
References
↑1 | ネイリンカプセル100mgに関する資料 佐藤製薬 |
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