新薬のメモ帳~緑内障治療薬エイベリス点眼(オミデネパグ)~


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薬剤師の波波です。

停滞していた緑内障治療薬業界に颯爽と現れた参天製薬所属の新薬、その名もエイベリス。一般名はオミデネパグ・・・え?一般名が覚えられない?あとで覚え方教えるから大丈夫!
過去の新薬メモ帳は主にIFを元に、所々審査報告書を参照して書いていたのですが、今回は審査報告書オンリーで書いてみました。書き写した感満載なので、もっと自分の言葉で書けるようにするのが今後の課題です。

何の薬?

緑内障・高眼圧症の薬。
(日本生まれなので2017年11月時点で海外の使用実績はありません。)

用法用量は?

1日1回・1回1滴

安定性は?

原薬は光に安定。
しかし製剤は光に不安定。なので遮光袋が添付されるものと思われます。
冷所保存下で製剤の有効期間は18ヶ月。
⇨遮光、冷所保存となりました。開封後は、添付の遮光袋に入れておくことで1ヶ月以内であれば室温保存可です。

どう働く?

プロドラッグであるオミデネパグイソプロピルは速やかに加水分解を受けて活性代謝物であるオミデネパグとなり、プロスタノイドEP2受容体作動薬(アゴニスト)として選択的に働きます。
平滑筋に広く分布するプロスタノイドEP2受容体を刺激することで平滑筋を弛緩させるため、眼内においては線維柱帯流出路及びぶどう膜強膜流出路からの房水排出促進作用を示すと考えられています。

特徴は?

◇理論上は色素沈着のリスクが低い◇

メラニン含有組織である虹彩、毛様体及び脈絡膜-網膜色素上皮において、点眼後24時間までに定量下限未満となるので、オミデネパグ及びその他代謝物のメラニン親和性は無いと考えられています。

代謝・排泄は?

前述したプロドラッグ(オミデネパグ イソプロピル)の「速やかに加水分解を受け」ですが、レーザー誘発高眼圧サルへの本薬点眼後2時間から眼圧下降作用が認められている(作用は6時間で最大)ことから「速やか」と言って良いでしょう。
速やかに加水分解を受けて生じた活性代謝物オミデネパグは主にCYP3A4で代謝されます。
機構は審査報告書において「非臨床試験の結果(4.4.1)から本薬は肝消失型である旨が説明されている」と述べています。

4.4.1 排泄経路(CTD4.2.2.2-2)
雄性ラット(4 例)の両眼に本薬 14C 標識体 0.03%を 5 μL ずつ単回点眼したとき、点眼後 168 時間までの尿中、糞中及び呼気中排泄率は、投与放射能に対して 4.03±0.54%、82.8±4.97%及び定量下限未満であった。
雄性ラット(4 例/時点)に本薬 14C 標識体 0.03 mg/kg を単回皮下投与したとき、投与後 24 時間までの尿中及び糞中の排泄率はそれぞれ 4.29±0.83%及び 70.3±15.7%であった。
胆管カニュレーションを施した雄性ラット(4 例)の両眼に本薬 14C 標識体 0.03%を 5 μL ずつ単回点眼したとき、点眼後 48 時間までの胆汁、尿及び糞中排泄率は、投与放射能に対して 50.4±8.84%、3.11±0.76%及び 19.8±3.83%であった。なお、胆汁及び尿中排泄率の和から、点眼時の全身への吸収率は 53.5%と推定された。

これだけだと排泄されたものの内、活性本体オミデネパグの占める割合が分からないので「肝消失」とするには足りない気がするのですが・・・胆汁排泄の寄与も約50%あるようですし(トラゼンタで約40%)、胆汁排泄中のオミデネパグの割合によっては「胆汁排泄型」にもなりうる・・・?

なんだか細かく考えすぎている気がしてきました。「胆汁排泄型」ってのもトラゼンタの売出し文句みたいなものですもんね。
別の項に掲載されていた「反復皮下投与したときのオミデネパグのT1/2」がザックリ約1時間だったので、それも考慮すれば肝消失していると考えてよいですかね。よいですかね・・・?合ってます??

肝機能低下者には?

ヒトでの動態試験は健康成人でしか実施されていません。肝消失型ですが、肝機能が低下していることが多い高齢者では大丈夫なんでしょうか。

メーカーの言い分
「点眼薬は主に結膜・鼻粘膜から吸収されるので、加齢に伴う肝機能低下による生物学的利用率への影響の程度は小さい。よって健康成人データと大きく変わりませんよ。」

機構の回答
「本薬は肝消失型であること、加齢に伴う肝機能低下者への投与が予想されること、以上の理由から肝機能低下者の動態について引き続き情報収集・提供して下さい。」

相互作用は?

オミデネパグにはCYP3A4/5の直接的阻害、CYP1A2の代謝依存的阻害作用がありますが、承認された用法用量での点眼による血漿中濃度ではCYP阻害作用を示す可能性は低いとされています。

長くなるので端折りますが、オミデネパグには各種トランスポーター阻害作用もあります。しかし、前述と同じ理由から臨床上では阻害作用は示さないとされています。

安全性は?

安全性薬理試験の内、イヌへ「吸入」させたときに心血管系の異常所見が見られましたが、それ以外では中枢神経系、呼吸器系に異常はきたしませんでした。
国内第Ⅰ~Ⅲ相試験では血圧・脈拍数に、国内Ⅰ相試験では心電図に、臨床的に問題となる変動は認められていない又は因果関係が否定されています。

有害事象

・眼炎症・・・既承認のFP受容体作動薬と比較してリスクが高い可能性があるため適切な注意喚起が必要とされています。

・黄斑浮腫・・・眼内レンズ挿入眼において高発現した為、無水晶体眼又は眼内レンズ挿入眼の患者に対してメーカーは「慎重投与」、機構は「禁忌設定を推奨」としており、最終的な投与可否については専門協議待ち。
⇨禁忌とされました。
また、視力低下等の異常が認められた場合は直ちに受診するよう指導することとなりました。
加えて、製造販売後調査では黄斑浮腫の発現状況を慎重に検討することが必要とされました。

・角膜肥厚・・・日本未承認のEP2受容体作動薬においても最大20μmの角膜肥厚が認めれれていること、角膜内皮細胞にEP2受容体が発現していることから、本薬の作用機序特有の事象である可能性があります。ただし、角膜厚は40μm程度日内変動すること、本薬投与において生じた角膜肥厚は軽度で回復性であった為、臨床上問題となる可能性は低いとメーカーは見ており、機構も「概ね許容可能」としています。
⇨專門協議の結果、角膜肥厚が裸眼視力に影響を及ぼす可能性を否定できない為、RMPにて「安全性検討事項の重要な特定されたリスク」に設定されました。

他の緑内障治療薬との併用について

・タフルプロスト(先発名タプロス)
併用において嵳明が認められた被験者の半数以上が中等度以上であった。加えて、中等度時点で中止しているので、継続した場合に嵳明の管理が可能であったかが不明である。
◇併用禁忌設定が適切
⇨專門協議の結果、禁忌設定とされました。

・チモロール(先発名チモプトール、リズモン)
併用時に結膜充血等の有害事象の割合が高かった。
・タフルプロスト・チモロール以外
併用時の安全性は検討されていない。
◇タフルプロスト以外との併用時の安全性については製造販売後調査において引き続き検討が必要
⇨併用により副作用が増強することがある旨、添付文書等において注意喚起を実施することとなりました。

製品名と一般名の覚え方

「えらい便利です、お前じゃないぞパグ(犬種)!」
この文言をなまらせていきます。
「えらい便利っす、おめーじゃねぇぞパグ!」
「えぃべりーっす、おみーでねぇパグ!」
「エイベリス=オミデネパグ」

はい覚えた!

参考

PMDA エイベリス_参天製薬株式会社_審査報告書
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