新薬のメモ帳~パルモディア~


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2018年6月1日に発売開始されたパルモディア錠。発売前は「フィブラート系だけどスタチンと併用しても安全!」という触れ込みで話題となったものの、厳しい審査の末に結局添付文書上は他のフィブラート系と大差ないどころか薬価も同程度にされてしまった少し可哀想な薬。IF・審査報告書を元に勉強勉強!

何の薬?

→脂質異常症治療剤。承認申請上は「高脂血症」という古い呼び方になっているが、まぁそれはどうでも良い。他のフィブラート系薬剤と同様に、TG(中性脂肪)の低下作用を示す。

どう効く?

→PPARαに結合して活性化することによりTG低下作用を示す。・・・何ともフワッとした説明で、これだけ覚えても何がどうなっているのか正直分からないしイメージもつかない。IFには図解付き記載もあるのですが、もう少し掘り下げてみます。

そもそもPPARとは何ぞや?1)信州医誌「α型ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPARα):脂肪肝疾患との関連
核内に存在するペルオキシソーム増殖剤活性化受容体、略してPPAR。α、β、γの3種類のサブタイプが存在する。PPARが活性化してペルオキシソーム増殖剤応答領域(PPRE)に結合し、PPARの標的遺伝子の転写が開始される。3つのサブタイプの内、PPARαは脂肪酸代謝に関わる分子種の遺伝子を標的としている。他にも、脂質輸送に関わる蛋白質や脂肪酸トランスポーターもPPREを有し、PPARα活性化により発現が促進される。PPARαは肝臓や心臓など脂肪酸酸化の盛んな臓器に多く存在している。

PPARと言えば、インスリン抵抗性改善薬のピオグリタゾン(アクトス)。ピオグリタゾンはPPARγを活性化し、糖代謝の恒常性を保つグルコーストランスポーターの発現亢進、糖の取り込みなどを抑制するTNF-αの産生抑制などを生じる。

したがって、PPARαへの選択性が低くPPARγまで強く活性化してしまうと副作用として低血糖を生じる可能性が高くなる。ここがパルモディアの特徴、他のフィブラート系薬剤よりもPPARαへの選択性が高いのである。
この特徴から、興和製薬はパルモディアを「選択的PPARαモジュレーター(SPPARMα((スパームアルファ))」と名付けている。略称を覚えるのが苦手なので、個人的には勝手に新しい単語を作るらないでよ!という感じである。「選択的PPARαアゴニスト」で十分だし、その方が分かりやすいので波波は「SPPARMα」なんで使わないよ!

どんな製剤?

→割線入りフィルムコート錠、0.1mg錠の単一規格。シャーレ開放で苛酷試験をクリア。フィルムコート錠ですしね。
割線入り、ということは半錠の処方が出た場合に自家製剤加算が算定可能となります。興和さんグッジョブ!しかもIFに半錠後の安定性まで記載してくれています。
→25℃/83%RH・4ヶ月間、無包装~分包において変化無し。
長期処方が可能となったとしても4ヶ月安定であれば、半錠調剤は問題ないと言えそうです。

一包化していい?

→前述の内容より問題ないでしょう。というか、全然OK。

粉砕していい?

→興和さんに確認したところ、粉砕も可能。ただし、どのような条件下でどの程度の期間安定か、といった詳細については社内資料のため本記事では記載できません。気になる方は興和さんまでお問い合わせ下さい。

いつ飲む?

→1日2回、朝夕。食前食後どちらでもOK。
食前より食後でCmax低下やtmax遅延は見られたものの、変化量は軽微で食事の影響は特に気にしなくてOKです。特に理由がなければ食後で処方されるのではないでしょうか。

どれだけ飲む?

→常用量は0.1mg/回x2回。最大で0.2mg/回x2回まで増量可能。
脂肪肝ではCmax・AUCが正常者に対して約1.2倍、Child-Pugh分類Aになると約2倍超となります。肝硬変の方は低用量にした方が良いでしょう。
尚、腎機能云々の記載がありますが、これはパルモディアがフィブラート系に分類されたため他のフィブラート系薬剤に準じて設定されたとのこと。パルモディアは主に胆汁排泄で、腎機能障害者での臨床試験結果において、直納障害の程度に依存したCmax・AUCの増加は認められていません。

副作用は?

→胆石症、糖尿病、CK上昇などが主な副作用として報告されています。日本で開発された薬剤で海外での使用経験が無いため、副作用については今後の動向に要注意です。

・糖尿病とはどういうこと?

またまた興和さんに確認しました。糖尿病の新規発症は無く、既存糖尿病の増悪があったそうです。また、糖尿病の増悪はパルモディア単独では見られず、スタチンとの併用時にのみ認められたとのこと。先に述べたようにパルモディアはPPARαに選択的に作用しますが、PPARγにも少なからず働くので理論的には血糖値は低下するはずです。アトルバスタチン、ロスバスタチンで血糖上昇が報告されているので、糖尿病増悪はスタチンに関連したものと考えて良いでしょう。

代謝は?

→前述の通り主に胆汁排泄されます。代謝・排泄にはCYP2C8、CYP2C9、CYP3A、OATP1B1、OATP1B3が関与します。

併用禁忌・相互作用は?

CYP2C8、CYP2C9、CYP3A、OATP1B1、OATP1B3を阻害するシクロスポリンが併用禁忌となっています。
他に、CYP2C8及びOATP1B1を阻害するクロピドグレル、CYP3A・OATP1B1・OATP1B3を阻害するクラリスロマイシンといった汎用薬が併用注意となっています。

・クロピドグレルとの併用
パルモディアのCmax及びAUCが、クロピドグレル75mg併用で約1.3倍および約2.1倍と上昇。
・クラリスロマイシンとの併用
パルモディアのCmax及びAUCが、クラリスロマイシン1000mg併用で約2.4倍及び約2.1倍と上昇。

ただし、臨床試験において上記の動態変化はあったものの、併用したからといって副作用が増えた、ということは無かったようです。これまた社内資料のため詳細は本記事に記載できませんので、気になる方は興和さんにお問い合わせ下さい。

禁忌症例は?

→Child-Pufh分類B又はCの肝硬変はCmax・AUCが大きく上昇するので禁忌。また、胆汁排泄なので胆道閉塞も禁忌。
胆石形成が報告されているので胆石のある患者も禁忌。
妊婦・妊娠の可能性のある方については、安全性が確立されていない、という理由から禁忌。
腎機能障害の記載もありますが、これは前述の通りフィブラート系に分類されたため仕方なく記載した、という感じです。

いつから長期処方できる?

2019年6月から長期処方可能となります。

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